2020.05.21
久保建英がスペインに渡る20年前。
アトレティコと契約した日本人少年がいた

- 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
- photo by YUTAKA/AFLO SPORT
「ジュンは海外暮らしで、言葉や生活の違いは大変だったはずだ。けど、オープンな性格で、すぐにみんなと仲良くなったよ。寮でも学校でもよくつるんでいた。なにより、選手として光るものを持っていたね。テクニックセンスは抜群。レアル・マドリードに勝ってリーグ優勝したんだけど、ジュンはびっくりするほどきれいなオーバーヘッドを決めてね。あれは、しばらくチーム内で話題だった」(マヌ)
当時のチームは、精鋭ぞろいだった。飛び級でトップにも召集されたトーレスは別格にしても、マヌだけでなく1部で活躍することになる選手ばかり。MFガビは、アトレティコの永遠のキャプテンとして、数々の名勝負を繰り広げている。
しかし、将来を嘱望された玉乃は、ユースからトップに昇格することができなかった。
多くのスペイン人選手は、まずアトレティコBというセカンドチームに昇格する。そこをプロ選手の登竜門として、経験を重ね、実力をつけていった。ステップアップが必要で、トーレスのようにトップでいきなりエースというケースは例外的だ。