2020.05.20
リーガ挑戦の日本人の前に立ちはだかった壁。
当然のことができなかった

- 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
- photo by Reuters/AFLO
アキは非常に高いテクニックを持った実力者。バジャドリードにいた城(彰二)よりも、少し実力は上じゃないかな。中田(英寿)がイタリアで成功したように、彼がスペインで成功できるといいね。でも、この国ではチームに馴染んで、競争に勝たなければならないんだ」
そして、リーガ1部通算146得点を記録することになるタムードは、こうアドバイスを送っていた。
「やはり、問題はコミュニケーションだろう。言葉の壁は大きい。ピッチでお互いが伝えたいことをかわせないのは、大きな障害だよ。アキはシャイな性格のようだが、スペイン語を学んでもらうしかない。自分たちはファミリーで、アキが困っていたら、すぐに助ける。だからこそ、まずは言葉を学んでほしいんだ」
コミュニケーションの問題は当時、ヨーロッパで日本人サッカー選手が苦しむ理由の筆頭だった。とりわけ、スペインでは顕著に影響が出た。
スペイン人はそもそも、外国人選手がスペイン語を話せないことが理解できない。