2020.05.12

キエフのシェフチェンコとゲルマン魂。
キレたジーコと美人記者の質問

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 何を隠そう、試合中、後の席に座っていた美人記者だった。彼女の瞳は、大真面目だった。こちらの眼鏡の奥を真っ直ぐに見据え、訴えかけているようでもあった。

「今日の試合をどう思いますか。あなたも、ジーコ監督と同じように、記憶から消し去りたい試合だと思いますか?」

 びっくり仰天とはこのことである。筆者にとっては忘れられない「親善」試合となった。

 キエフのオリンピスキを次に訪れたのは、およそその7年後。ユーロ2012決勝になる。スペインがイタリアを4-0で下した一戦だ。

 オリンピスキはまったく別の姿になっていた。収容人員は7万50人。それまでの9万人から数を減らしたが、その分モダンになって、すっきり見やすくなった印象だ。建設の経緯を詳しく知るわけではないが、100パーセントの新築ではないとのこと。改築、リニューアル。かつての面影をどこかに潜ませている。精神性を引き継いでいるスタジアムだ。

 ユーロ2012。その記者席に、残念ながら7年前の美人記者の姿を確認することはできなかった。2017-18シーズンCL決勝、レアル・マドリード対リバプール戦しかりである。