東京五輪で見逃せない2人のGK。大型で俊敏、神がかったプレーも連発 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「自分の場合、何が起こっても動じず、落ち着いて見える空気を意識的に出そうとしてきた。GKも人間だからミスはあるが、泰然として振る舞う姿を、敵にも味方にも見せる。さもなければ、付け込まれるからだ。ディフェンスのミスにしても、試合中に愚痴ってもプラスにならない。GKは自分の感情を制御し、素早く次の守りに集中することが大事だ」

 もっとも、その境地に達するのは時間が必要だろう。GKはルーキーには厳しいポジションだ。経験がものをいうだけに、若い選手は未熟さが出てしまう。事実、年を取ってから円熟味を感じさせるGKは多い。

 東京五輪への出場予定国で、GKとしての優れた資質を感じさせる選手が2人いる。

 ひとりはスペインU―23代表のウナイ・シモン(22歳、アスレティック・ビルバオ)だ。

「(正GKだった)ケパ(・アリサバラガ)を売却(チェルシーへの移籍金は約100億円とされる)しても困らない」

 ビルバオの関係者には、その算段があったという。昨シーズンまでセカンドGKだったシモンが、今シーズンはレギュラーとして好守を連発している。泰然自若とし、不必要に動かず、正しいポジションを取れる。大きな体躯だが、反応は俊敏。間合いを詰めるスピードも素早く、倒れた後の回復動作も速い。

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