2020.04.30

敵もビビる弾丸サイドチェンジ。
リバプール両SBの武器は「足の強さ」だ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 プロとして大成した選手でも、子どものころは体格が貧弱で体力もなかったという話はよく聞く。ただ、アレクサンダー=アーノルドとロバートソンは、たしかに「足が強い」。スピードがあり、アジリティもすばらしい。足裏で地面をグリップするような強さがある。特筆すべきはキック力だろう。

 リバプールはSB同士のサイドチェンジを行なっている。そして、これをされた相手のプレッシングは直ちに無効化され、後退するしかなくなる。プレッシングはボールのある場所へ人を集めてスペースを狭めていく守り方なので、逆サイドは大きく空いている。とくに逆のSBはボールからもっとも遠く、ゴールからも遠い選手なので、相手はここにマークをつけることはない。

 仮に逆のSBまでボールが行ったとしても、2~3本のパスを使ってのボールのリレーか、直接のサイドチェンジでも滞空時間が長いので、その間に移動すれば守備は間に合うわけだ。

 ところがリバプールでは、アレクサンダー=アーノルドからロバートソンへ、ロバートソンからアレクサンダー=アーノルドへ、一発で高速のサイドチェンジが通ってしまう。当然、守備は間に合わない。ボールを受けたリバプールのSBもフリー。守備側は大きく後退して陣形を敷き直すしかない。リバプールのSBは「偽SB」という流行のギミックを使うこともなく、強力なキック一発で問題を解決してしまうのだ。