バロンドール史上最大のミス。
2010年はスナイデルが受賞すべきだった

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

 そもそもチームスポーツであるサッカーで個人賞を決めるのは簡単ではない。たんに誰が最も優れた選手かという観点から選べば、もうこれはずっとメッシが受賞することになりかねない。監督や主将はそういう観点から選ぶ傾向がありそうで、FIFAのほうはほぼ毎回メッシかクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)が受賞している。

 結局のところ、チーム成績と個人能力を天秤にかけて落としどころを探るのが個人賞のあり方で、記者投票はそのさじ加減の塩梅は利きやすい。

 ただ、完全記者投票だったころのバロンドールにも、疑問の残るケースはいくつもあった。

 1960年はルイス・スアレス(スペイン)が受賞しているが、2位のフェレンツ・プスカシュが共産圏ハンガリー出身ということで票が集まらなかったのが原因と言われている。逆に1964年のルイス・スアレスはセリエA、ヨーロッパ選手権、チャンピオンズカップ(現CL)、インターコンチネンタルカップ(現クラブW杯)を獲ったのに2位、受賞者はデニス・ロー(スコットランド)だった。

 1974年、フランツ・ベッケンバウアー(当時西ドイツ)はW杯、チャンピオンズカップに優勝したが、受賞者はヨハン・クライフ(オランダ)。

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