ロナウドのお膳立て役からエースに。ベンゼマのゴール前の動きの妙 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer
バルベルデに縦パスを出し、空いたニアのスペースへ

 まずはバルベルデの走りの意図に注目すべきだ。バルベルデは中央の相手のダビド・ロペスを引きつけながら斜めに縦のスペースへ走り込むことで、ベンゼマから縦パスを呼び込みながら中央のスペースを空けている。かつてベンゼマが、ロナウドのためにそうしたように。

縦パスを出したベンゼマは、ゴール前に走り込んでリターンを受けシュート縦パスを出したベンゼマは、ゴール前に走り込んでリターンを受けシュート そのランニングを見たベンゼマは、すぐに縦のスペースへパスを送った。中央の空いたエリアは、相手のベルナルド・エスピノーサが帰陣して埋めたかに見えた。しかし、ボールとバルベルデの行方を見ているベルナルドに、後方から走り込むベンゼマの動きを捉えるのは至難の業だった。

 バルベルデは巧みにボールをキープしながら、ベンゼマが走り込むための時間をつくった。そして反転すると、ダビド・ロペスの股間を抜いてプルバックのパス。そこへトップスピードで走り込んだベンゼマが、右足で豪快に蹴り込んだ。

 ベルナルドは中央のエリアを埋めてはいたが、ニアにできたわずかな隙間を2人は見逃さなかった。バルベルデのスペースメイクと、冷静かつ絶妙なパス、隙を逃さないベンゼマの走り込みとフィニッシュワーク。もうロナウドのお膳立て役ではなく、自らが主役となるストライカー・ベンゼマの会心のゴールだった。

【動画】ベンゼマの2019-20シーズンのスーパープレー集はこちら>>
(エスパニョール戦のゴールは、2分50秒~3分10秒)

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