「無敵チーム」で抜群の存在感。
アンリはゴールを優雅に軽々と決めた

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO


 だから、アンリはアシストでも貢献していた。

 まるでダンスを踊るかのようにひざ下だけを動かしてDFを騙しては、ピッチを滑るようなスルーパスを出した。2トップのパートナーであるベルカンプのラストパスにも惚れ惚れしたが、アンリのパスに懸命に走らされて得点を決めるピレスとのコンビネーションにも引き込まれた。

 それでいて、ミドルシュートにも目を見張るものがあった。第23節のマンチェスター・シティ戦では、得意の左45度から右足を振り抜くと、鮮やかに右上にゴールを決めてみせた。

 さらに圧巻だったのは、優勝を争っていたマンチェスター・ユナイテッドと第30節で激突した試合だ。結果的に引き分けに終わるのだが、後半開始早々、アンリはロングレンジからシュートを叩き込み、先制点を挙げたのである。

 だが、そうしたミドルやロングシュートですら、豪快さよりも、優雅さが際立つ。それこそが、アンリの魅力だったように思う。

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