「無敵チーム」で抜群の存在感。アンリはゴールを優雅に軽々と決めた (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO


 FKも得意としていて、たとえば2003−04シーズンにも第28節のブラックバーン戦で直接FKを叩き込んでいるのだが、その助走はわずか一歩。クリスティアーノ・ロナウドのように仁王立ちになって、蹴るぞ、蹴るぞとアピールすることはなかった。

 188cmの長身ながらスピードがあり、ドリブルはまさにしなやか。第33節のリーズ戦では、ハーフライン付近からドリブルすると、あっという間に4人のDFを置き去り。フィニッシュ時には倒れ込みながらシュートするのだが、「ちょん」と浮かすようにゴールを決めた。

 そうしたシーンが好例なように、アンリのシュートは表現するならば、流し込むものがほとんどだった。

「簡単にゴールを決めるな」

 彼のプレーを見るたびに、感嘆の声をあげていたことを思い出す。「シュートは力以上にコースが重要」とは、よく言われることだが、そのお手本を示しているかのようだった。

 得点王争いをしていたシアラーやファン・ニステルローイが豪快でパワーを売りにしていたFWだとすれば、アンリはスピード以上にテクニックが最大の特徴だった。

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