「無敵チーム」で抜群の存在感。アンリはゴールを優雅に軽々と決めた (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO


 4−4−2システムを用いていたアーセナルは、流れるようなパスワークで中央をこじ開けたかと思えば、両SBの攻撃参加から得点を奪った。それでいて速さを活かしたカウンターも得意とし、まさに遅攻と速攻を組み合わせたサッカーは圧巻だった。

 当時はまだ荒々しいイメージの強かったプレミアリーグのなかで、アーセナルは気品とか、エレガントと形容できるサッカーを体現する役者も揃っていた。

 デニス・ベルカンプ、ロベール・ピレス、パトリック・ヴィエラ、フレドリック・リュングベリ......。だが、そのなかにあって、いわゆる私の推しメンだったのが、FWのティエリ・アンリだった。

 ストライカーであるアンリは、文字どおりエースだった。このシーズン、アンリは30得点を挙げ、アラン・シアラーやルート・ファン・ニステルローイを抑えて自身2度目の得点王に輝いたのだが、彼の何に引きつけられたかといえば、フィニッシュだった。

 アンリはおおよそ、力強いシュートを放つことがなかった。足を大きく振りかぶったり、手を大きく回したりといった予備動作が極端に小さい。

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