CL史上、最もマジメな得点王。そのフィンランド人は10番の概念も変えた (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 スリナム系、アフリカ系(ナイジェリア)の黒人プレーヤーが常時、半数以上スタメンに名を連ねていた。10代の選手が、スタメン及びそれに近いポジションに何人もいた。一卵性双生児(デ・ブール兄弟)の存在も目をひいた。ヒョロっとした長身選手もいれば、ちびっ子選手もいた。

 そのデコボコ感溢れる、漫画チックな集団の中にフィンランド人が混じっていることも、心を動かされた点だった。

 ローマのオリンピコでユベントスと争った1995-96シーズンのCL決勝。

 アヤックスは前半12分、DFフランク・デ・ブールとGKエドウィン・ファン・デル・サールの呼吸が合わず、バックパスの処理をもたつく間に、ユベントスのFWファブリツィオ・ラバネッリに先制点を流し込まれてしまう。

 連覇を狙ったアヤックスに、同点ゴールが生まれたのは前半41分。フランク・デ・ブールの直接FKを、ユベントスGKアンジェロ・ペルッツィがパンチでクリアしたボールに、鋭く反応したフィンランド代表選手、ヤリ・リトマネンが押し込んだゴールだった。

 1-1。試合は延長を経てPK戦に突入した。

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