デル・ピエロの驚愕のシュートは「世代交代のシグナル」だった (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO


 そこに走り込んできたのが、アレッサンドロ・デル・ピエロだった。

当時まだ20歳、クリクリの長髪をなびかせた若者は、背後から飛んできたロングボールを右足アウトサイドのボレーで叩き、GKフランチェスコ・トルドの頭上を破るのだ。

 これが、いかに驚愕のプレーだったかは、ライバルチームのエースたちのコメントを見ればわかる。

「すばらしいゴールだった。でも、100回試しても、二度と同じ芸当はできないと思う」(ジュゼッペ・シニョーリ/ラツィオ)

「もし、彼があの時、本気でゴールを決めるつもりだったとしたら、それこそ怪物だ」(デヤン・サビチェビッチ/ミラン)

 だが、"アレックス"の愛称で親しまれる若者の才能をよく知るチームメイトは、偶然でないことがわかっていた。

「自信がなければ、あんなゴールは生まれないよ」(ジャンルカ・ヴィアリ)

「すごいゴールだった。あんなゴールを決めるには、生まれながらの才能が必要だ」(ロベルト・バッジョ)

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