ベンゲル対クライフ。26年前、初めてCLを観た驚きのスタジアム (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 モナコと言われてまず頭をよぎるのはF1。そしてカジノだ。街の財源は観光客が落とすお金によってまかなわれるので、税が軽い国として知られる。世界中の富裕層が移住を希望する理由はそこにある。

 街そのものがリッチそうなのだ。何よりきれい。住民の美化精神はことのほか高そうで、各所に配備された揃いの制服を着た清掃員が、ディズニーランドで見るような鮮やかな手さばきで、ほうきとちりとりと扱うのだ。一般住民も交代で早起きし、その清掃活動に加わるのだという。パトロールに当たる警察官の数も半端ではない。交差点には必ずと言うほど立っている。スリやかっぱらいの被害に遭う危険が高いイタリア、フランスとは雰囲気が決定的に違う。

 そのうえ、風光明媚だ。目の前にはコートダジュールが広がっている。海は普通、街中からは見えにくいものだ。海岸まで辿り着かなければ青い海と遭遇できないが、モナコは違う。海岸から山が急傾斜で切り立っていて、つまり平地が少ないので、どこにいても眼下に青い地中海を見下ろす視界を保つことができるのだ。モナコの鉄道駅があるのは標高100メートルほどの地点。一方、ルイ2世スタジアムがあるのは海岸の近くなので、その道のりは下りだ。地図で見るより、思いのほか早くスタジアムに到着できる。

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