「勝てないスペイン」初戴冠の舞台に元オランダ代表監督の名がつく因縁 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 スペインが、たとえばPK戦に及んだユーロ2008準々決勝イタリア戦で敗れていたら、2010年南アW杯の優勝はあっただろうか。ユーロ2008で優勝を飾り、「勝てない国」から脱皮できたことが、その原因だったのではないか。「エルンスト・ハッペル」と、スペインとオランダとにまつわる因果について、思わず想像をめぐらしたくなる。

 エルンスト・ハッペルはチャンピオンズリーグ(CL)決勝を開催する資格をもったUEFAが定めるカテゴリー4(最上位)スタジアムでもある。

 最後にその舞台となったのは1994-95シーズン。アヤックス対ミラン戦だった。アヤックスが連覇を狙うミランを1-0で下し、1972-73シーズン(前に述べたアヤックスが3連覇した最後のシーズン)以来、22シーズンぶりに優勝を飾った一戦だ。

 オランダ国内でアヤックスと激しいライバル関係にあるフェイエノールトの、特に年配サポーターは、エルンスト・ハッペルで起きたこの出来事をどう見ただろうか。またしても「おいしいところをアヤックスに持っていかれた」と地団駄を踏んだのか、同じオランダのクラブの快挙として喜んだのか。日本では後者が当たり前だが、欧州は必ずしもそうではない。

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