「勝てないスペイン」初戴冠の舞台に元オランダ代表監督の名がつく因縁 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ユーロ2008決勝トーナメントの取材で、筆者はスペイン戦を3試合、イタリア戦(準々決勝)、ロシア戦(準決勝)、ドイツ戦(決勝)と観戦した。スペインの試合はグループリーグでも3戦中2試合を観戦していたので、結果的に、優勝に至る過程をかなり克明に把握することができた。

 それまで国際大会(ユーロ、W杯)で、1度もタイトルを獲ったことがなかったスペインは、2年後の2010年、南アフリカでW杯初優勝を飾り、4年後のユーロ2012(ウクライナ・ポーランド共催)でも連覇を飾ることになる。

 ユーロ2008、とりわけエルンスト・ハッペルで行なわれた決勝トーナメントの3試合は、最強時代に向かっていったスペインを語るうえで欠かせない事象と言える。

 エルンスト・ハッペルとは、オーストリアを代表する元サッカー選手の名前だ。引退後、指導者となり、特にオランダで知名度を上げた。1969-70シーズンにはフェイエノールトの監督として、チームをチャンピオンズカップ(現在のチャンピオンズリーグ)初優勝に導いている。

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