レアル「銀河系軍団」の瓦解──。
会長の強権がもたらした冬の時代

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「敗北は予告されていた」

 ゴールを守っていたGKイケル・カシージャスの回顧である。フェルナンド・イエロ、クロード・マケレレのような守備の重鎮を放出したつけは明らかだった。豪華な布陣は、中身を欠いていた。

「シーズン前半までの好成績は見せかけで、本当のところは何もうまくいっていなかった。チームは闘争心のかけらも見えず、反撃する術がなかったね。後ろから見ていて、あり得ない光景が広がっていた」

 銀河系軍団は、その幻想を打ち砕かれた。このあと、ホームでのクラシコで0-3と完敗。なんと5連敗を喫し、リーグ戦は4位に終わった(優勝はバレンシア。レアル・マドリードは最多得点だったが、失点数は12位で下から数えた方が早かった)。

 ペレス会長はひとり、幻想にしがみついた。2004-05シーズンはイングランド代表マイケル・オーウェン、ジョナサン・ウッドゲートを獲得。スター性を加味したが、2人ともスペインの水に馴染めなかった。ウッドゲートに至っては「彼を見られたらラッキー!」と揶揄されるほどで、リーグ戦出場は2シーズンで9試合だった。

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