2020.04.06

レアルのサンス会長時代の栄華。
マドリディスモの化身、ラウルの登場

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ルイス・フィーゴはその異能について言及しているが、ピッチで"実体"が捕捉できないのだという。なぜラウルがそこにいて、ゴールネットを揺らしているのか。フィーゴのようにプレーに精通する選手にとっても謎だった。

「ラウルのすばらしさは、本当は修正力にある。ワンタッチでプレーするのは得意だが、それができないときもあって。その時、彼は次々にプレーを修正できる」

 そうバルダーノは言う。2001-02シーズン、デポルティーボ・ラ・コルーニャ戦の得点はその証左だった。

 ラウルは、ロングボールをディフェンスと並走しながら胸で止める。前後から挟まれる形になるが、浮き球を左足で背後にコントロールし、前を向く。そこで寄せてきた相手の背後に再び左足でボールを浮かせ、前へ出る。エリア内で左手から相手のタックルを受けるも、すかさず左足でボールを少し右にずらし、右足を振り、ゴールに蹴り込んだ。

 ラウルは2度、リーガ・エスパニョーラ得点王に輝き、歴代得点数も5位(リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウド、サラ、ウーゴ・サンチェスに次ぐ)。とりわけ、大舞台でのゴール技術は白眉だった。クラシコでの得点数は歴代4位(メッシ、ロナウド、アルフレッド・ディ・ステファノに次ぐ)。CLでの歴代得点記録も3位だ(ロナウド、メッシに次ぐ)。