レアルのエース「7」の系譜。
伝説のドリブラーが明かす強さの秘密

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 アマンシオはテクニックだけの選手ではなかった。ゴールセンスにも恵まれていた。勝負を決められる剛胆さを持った選手で、1970年代には1部でも2度、得点王になっている。

「1965-66シーズン欧州チャンピオンズカップ準決勝、インテルを破った試合は最高だったよ。決勝では2-1(アマンシオは同点ゴールを決めている)とパルチザンを下して王者になったんだが、あれは栄光そのものだった。インテルは当時、名将エレニオ・エレーラが率い、ルイス・スアレスという天才がいてね。欧州最強を誇っていたが、それを打ち負かした。しかも、マドリードは外国人なしだったんだ」

 アマンシオはそう言って、顔に皺を作った。1965-66は、チャンピオンズカップ5連覇(1955-56から1959-60まで)を達成したディ・ステファノが退団したあと、中心選手としてチームを欧州王者に導いたシーズンだ。その後の32年間、レアル・マドリードは欧州の頂点に立つことはなかった。彼がどれだけのことをやってのけたか、伝わるだろう。

 アマンシオは、レアル・マドリードの戦いを天下に示した。リーガでは9度にわたって優勝。王冠が似合う背番号7のルーツだ。

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