2020.04.02

レアルの強さの本質を探る。
ジダンが体現する「戦術を超えた戦略」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 そこに滲む王者の品格とは?

 マドリードの歴史を振り返り、その真実に迫る。

 1902年に創設されたマドリードだが、当初はレアル(王の)という称号は冠せられていなかった。1920年に王室の栄誉を受け、レアル・マドリードとなる(一時、王の亡命でレアルの称号を外したこともある)。日本では、「レアル」と呼ばれることが多いが、「マドリード」と呼ばれるのが一般的だ(現地ではレアルと言っても通じない。ほかにもレアルを冠したクラブがあるからだ)。

 首都マドリードを本拠に置くチームということで、中央政府のバックアップを受け、同時に常勝が義務付けられた。政治的理由で、カタルーニャ地方の雄であるバルサには負けられなかった。1930年代、マドリードは欧州屈指だったGKリカルド・サモラ(リーガ・エスパニョーラの最優秀GK賞は、その名からサモラ賞という)の獲得を巡って、バルサと火花を散らしている。結局、レアル・マドリードはサモラを手に入れ、リーガを連覇。さらに、バルサのエースだったジョゼップ・サミティエルも強奪した。

 以降、レアル・マドリードはバルサから憎しみと復讐心を浴びるたび、強さを増していく。