バルサの危機。MSNへの熱狂の陰で「青とえんじの色」は薄まり続けた (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 その象徴的選手が、2013-14シーズンに南米王者サントスから獲得したブラジル代表ネイマールだろう。その商業的価値は群を抜き、ナイキ社と組んだ世界戦略だった。

 しかし、マネーの動きをクラブの車輪にしたことで、ゆがみが生まれる。

 ロセイ会長はネイマール獲得に際し、不正なお金の流れがあったという告発で、批判の的になる。2014年1月には会長職を辞任し、幕引きを図っている。ただ、架空会社を使ったマネーロンダリングで、選手の肖像権で稼いでいた疑惑も出ていた。

 ネイマール自身は、バルサのプレースタイルに順応し、技術やひらめきを見せるようになっていった。ロマーリオ、ロナウド、リバウド、ロナウジーニョなど、ブラジル人とバルサの相性は悪くない。バルサの論理的に根付いたプレーモデルが、ブラジル人の自由闊達なプレーを触発し、思いがけない"出会い"を果たすのだ。

 2014-15シーズン、ルイス・エンリケが監督に就任したチームは、「MSN」(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールの頭文字)で天下を取った。リーガ、スペイン国王杯、そしてCLと三冠。欧州サッカー界に旋風を巻き起こした。

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