バルサを救った「クライフの使徒」。ライカールトが語った監督の本懐 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by MarcaMedia/AFLO

 ライカールトは寛大で鷹揚な性格の人物である。その点、クライフから見たら勝負への野心のなさが物足りなかったのかもしれない。しかし覇気は外に出さず、内に込める人だった。結果的に、そのキャラクターは"ボス"として功を奏した。

 ライカールトはどっしりと構え、メディアやファンが煽る問題を避けることで、選手に集中できる環境を与えている。世界のトップレベルで鍛えた慧眼の持ち主だけに、選手の気力の充実やプレーヤーとしての資質を見抜けた点も、信頼の高さにつながった。一方、コーチとして入ったヘンク・テン・カーテは管理主義者で、選手を厳しく縛り、怠惰を許さない。そのバランスのよさで、リーダーとしての求心力が高まった。

 なにより、ライカールトは長いキャリアの経験から、優れた選手がピッチ上で戦術をアップデートできる力を信じていたし、その自由さがバルサの持っていた力を開花させた。

「フットボールはエモーションだ」

 ライカールトは言う。

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