バルサを救った「クライフの使徒」。ライカールトが語った監督の本懐 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by MarcaMedia/AFLO

 前監督のエルネスト・バルベルデも、現役時代にバルサでクライフの指導を受け、開眼したと言う。

 そして、最も濃厚にクライフと接したと言える指導者が、混迷期のバルサを救ったのである――。

 2003年6月、オランダ人のフランク・ライカールトはバルサの監督に就任している。クライフの推薦が決め手になった。

 ライカールトは80年代、アヤックス時代に選手としてクライフとともにプレーしている。当時、ルーキーだったライカールトは、ベテラン選手のクライフに感化された。チームメイトとして、直にトータルフットボールを学ぶことができたのだ。

 85年からは、ライカールトは監督になったクライフの指導を受けている。マルコ・ファンバステンとともに成長した。しかし、クライフの高い要求に対し、次第にストレスを抱え、87年夏に急遽、退団している。

 クライフとは喧嘩別れに近かったようだが、2人の関係はそれ以上、悪化していない。ライカールトは高い評価を受けていたことを感謝していたし、ミランで世界最高のMFとなるなど、人間としても成長を遂げていた。クライフもその心中を察し、感情のほつれを度外視した。その力量を見極められる判断力を持っていたのだ。

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