メッシを生んだバルサのルーツ。「小さな選手に目をかけろ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by MarcaMedia/AFLO

 クライフの薫陶を受けたのが、ジョゼップ・グアルディオラだった。ユース時代のグアルディオラはプレービジョンとダイレクトプレーに長けていた。ただ、細身でパワーに欠けることから、トップ昇格には慎重な声が多かったが、クライフによって引き上げられた。そしてトップチームのプレーメーカーとして指名されたのだ。

 クライフはボールプレーヤーを重用した。恐れずボールを回せる技術があるか、集団の中で相手をかいくぐって攻撃を作り出せるか。体格は度外視だった。サイドバックではアルベルト・フェレール、セルジ・バルファンの2人をトップに引き上げているが、いずれも小柄だ。

「走るな。ボールを走らせろ」

 それがクライフの哲学で、ラ・マシアの信条となった。

 しかし、クライフはその栄光をラ・マシア出身選手だけで勝ち取ったのではない。主軸を担ったのは、むしろ圧倒的な技量のある外国人選手だった。フリスト・ストイチコフ、ミカエル・ラウドルップ、ロナルド・クーマン、そしてロマーリオ。バルサの戦いのプレーモデルを革新させたのは、世界トップレベルの選手たちだった。

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