低迷していたバイエルンを立て直した新監督。譲れない点が2つある (5ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

 2つ目は、そのコンセプトを実行に移すための選手獲得に関することだ。監督として、首脳陣、スカウト陣と対等に話せる権利、そして中長期的な計画の選手獲得に密接に関わり、自身の意見が取り入れられることを希望している。クラブから一方的に選手を与えられることで、チーム内のバランスが崩れ、ゼロから関係を構築しなければならない事態を避けたいようだ。

シーズン半ばからバイエルンを立て直した、ハンス=ディーター・フリック監督シーズン半ばからバイエルンを立て直した、ハンス=ディーター・フリック監督 とはいえ、ドイツの主要メディアは、フリックとクラブ間の合意は時間の問題と見ている。バイエルンの監督として、バスティアン・シュバインシュタイガーやフィリップ・ラームら生え抜きを主軸にして2013年にトリプル(3冠)を達成したドイツサッカー界のレジェンド、ユップ・ハインケスは、バイエルンにとってフリックは「理想的な監督」だと太鼓判を押す。

「バイエルンは、これから一時代を築く大きなチャンスを手にしている。フリックは、監督として宝石のように価値のある存在だ。バイエルンは、彼のような才能ある人間を発掘し、支えなければならない」(ハインケス)

 クラブ運営の中心となるトップチームの監督が定まりつつあることで、バイエルンは継続的な発展が可能になりそうだ。そうなると、欧州の覇権を握る存在になることも視野に入る。

 中断しているブンデスリーガ、そして欧州のサッカーシーンは先が見えない状況だが、再開できる時に備え、バイエルンで野心的なプロジェクトが進んでいく気配を見せている。

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る