塀の中のロナウジーニョの様子。ブラジルとパラグアイの国際問題に発展 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ロナウジーニョはただ子供なだけだろう。サッカーは彼を夢見させてきた。まるで『千夜一夜物語』のように、多くのお金に美しい女性、華やかなパーティー、スポンサー......望めばなんでも手に入った。彼が笑ってボールを蹴れば、世界は彼にかしずいた。

 今回のパラグアイのパスポートにしても、彼は風変わりなプレゼントぐらいにしか思っていなかったのだろう。

 しかし彼はいまだに、世界でも最も混乱している国のひとつであるパラグアイで拘留されている。そして事件は、彼のあずかり知らぬところで、警察、司法、政治家を巻き込む大きな問題に発展しつつある。

 パラグアイのある大臣は「パスポート偽造にはマフィアが関係している」と言っている。この件で、警察に留め置かれているのは彼ら兄弟だけではない。少なくとも7人のパラグアイ人が捕まっており、政府の役人が2人、責任を取って辞任している。パラグアイの大統領は、真実がわかるまで追求し続けると宣言。一方、ブラジルの法務省はパラグアイ政府に、この件に対する説明を求めている。

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