塀の中のロナウジーニョの様子。ブラジルとパラグアイの国際問題に発展

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「ロナウジーニョはちょっと愚かだ。何が起こっているのか、わかっていない」

 そう言ったのは、ロナウジーニョとその兄アシスの弁護士アドルフォ・マリンである。

「彼には法を犯したという意識はなかった。愚か者だとしか言えない......」

拘置所での様子も伝わってきたロナウジーニョ photo by Reuters/AFLO拘置所での様子も伝わってきたロナウジーニョ photo by Reuters/AFLO ブラジルで、最近のお騒がせ選手と言えばネイマールだった。そろそろ28にも手が届く年齢だというのに、その行動はいたって子供。ただ、その原因は父親にあると言われている。彼は息子を決して手放そうとしない。ネイマールのことを決めるのはすべて父親だ。幼いころからそう育てられてきたネイマールは、だから責任を負うということを知らない。彼は父親の被害者だという見方もある。

 それと似ているのがロナウジーニョだ。彼の弁護士によると、ロナウジーニョはいつでも兄アシスの言うなりだという。ロナウジーニョにとってアシスは、ネイマールにとっての父と同じ存在だった。

 ロナウジーニョの子供の頃の夢は、アシスのようなプロ選手になることだった。9歳年長の兄は、ブラジルの名門グレミオに入団。また、ロナウジーニョの父は、彼が8歳の時に自宅のプールで溺れて亡くなっているので、兄はロナウジーニョとって父親代わりでもあった。

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