王者リバプールの敗因。クロップは
シメオネの土俵で戦ってしまった

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

 3連続ゴールを奪われ、敗れ去る姿を見ていると、サッカー界でよく言われる、「うまい選手はうまい選手に弱い」との台詞を想起せずにはいられなかった。うまいつもりでいる側が、それ以上の技巧を相手に発揮されたとき、沈黙してしまう状態を指すが、延長戦のリバプールはまさにそんな感じだった。

 クロップの対応も不十分に見えた。中盤の核として効いていたワイナルドゥムをクロップは90分でベンチに下げているが、ケガが理由でなかったとすれば、采配ミスとは言えまいか。

 さらに、延長前半7分、アトレティコのジョレンテに合計スコア2-2とされる事実上の逆転(アウェー)弾を許した直後の采配だ。そこからアトレティコのジョレンテに再び、ダメ押しとなるゴールを奪われるまで9分間あった。だが、メンバー交代(ファビーニョ、ディボック・オリギ、南野拓実の投入)が行なわれたのはその後。勝負がほぼ決したあとだった。遅きに失した感のある交代であり、リバプールのサッカーそのものも、メンバーを代える度にバラバラになっていった。

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