王者リバプールの敗因。クロップはシメオネの土俵で戦ってしまった (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

 交代出場で2ゴールを挙げたマルコス・ジョレンテ、その1点目のゴールをアシストしたジョアン・フェリックス、3点目のゴールを決めたアルバロ・モラタ、さらには再三好セーブを披露したヤン・オブラク等々の知名度も、その瞬間、飛躍的に上昇する。

 監督はそれ以上だ。「さすが、シメオネ」と、ずる賢いサッカーを讃えるファンは、いまこの世界に溢れ返っていることだろう。

 一方、リバプールのユルゲン・クロップ監督は、アトレティコを下してもそこまで評価は上がらない。順当勝ちと見なされる。前評判の高い優勝候補は、受けて立つ設定になっているのだ。

 昨季のリバプールはそうではなかった。チャレンジャーとして臨むことができた。バルセロナに第1戦で0-3と敗れながら、第2戦で4-0とし、合計スコア4-3で大逆転勝ちした準決勝は、その典型的な試合だった。受けて立つ格好になったのはバルサ。立ち位置の違いに、勝負の綾が潜んでいた。

 CLで2連覇を狙うリバプールは、国内リーグでも断トツの首位を走っている。「リバプール強し」は、鮮明に描かれた状態にあった。つまり、アトレティコに対して、受けて立つ条件が整っていた。

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