王者リバプールの敗因。クロップはシメオネの土俵で戦ってしまった (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by REX/AFLO

 延長前半4分。リバプールはロベルト・フィルミーノのゴールで合計スコア2-1と勝ち越す。勝利を手元に大きくたぐり寄せたかに見えた。アトレティコにその後、連続3ゴールを許し、リバプールが合計スコア2-4で敗れることになる劇的な急展開を予想した人はこの時、どれほどいただろうか。
 
 前季の覇者が敗れることになったこの衝撃度の高い一戦。番狂わせの原因を探ろうとしたとき、あらためて触れたくなるのが、CLで連覇を達成することの難しさだ。

 CLで連覇を果たしたのは、2015-16シーズンから3連覇を達成したレアル・マドリードが初めてだった。CLの前身であるチャンピオンズカップを含めても、2連覇は1988-89、89-90シーズンのミラン以来、27シーズンぶり。3連覇となると、1973-74シーズンからのバイエルンまで遡らなければならない。

 原因はいろいろ考えられるが、一番に挙げられるのは「標的」になりやすいことだ。前季の覇者は例外なく優勝候補だ(今季のリバプールがそうであったように)。対戦チームには、チャレンジャー精神を最大限かき立てられるモチベーションの高い試合になる。決勝トーナメントに入ればなおさらだ。敗れてもともとと、思い切ってぶつかってくる。今回のアトレティコのように、そこで勝利を収めれば、ニュースは大きな事件として全世界に報じられる。

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