リーガも無観客試合に。誰もいないカンプノウで聞いた音に感じたこと (4ページ目)

  • 中島大介●文 text by Nakashima Daisuke

 いざ試合が始まってみると、10万人の観客がいないスタジアムでは、たくさんのふだん聞こえない音が聞こえてきた。ボールを蹴る音、身体と身体がぶつかる音。味方を鼓舞する声、審判を怒鳴りつける声。ラジオアナウンサーの実況までが聞こえてきた。初めての状況に、最初はワクワクしながら撮影をした。しかし......。

 これまで何度も、観客の声が後押しとなって選手を突き動かす瞬間を撮影してきた。たくさんのドラマを、選手だけでなく、観客も一緒になって作ってきたことを、カメラを通して見てきていた。最初に感じた目新しさに慣れてくると、サポーターのいないサッカーの撮影ほどつまらないものはなかった。

"命より大切なものはない"。今、サッカーの試合が無観客で行なわれるのは仕方がないことだと思う。少しでも早く、サッカーのあるべき姿、選手とファンのいるスタジアムを撮影できる日が戻ってくることを待ち望みたい。



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