久保建英がゴールで最高評価の輝き。
カウンターから見せた大胆さと知性

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 開始早々、マジョルカはクチョが左足できわどいシュートを放っている。しかし乾貴士がベンチ外になったエイバルに、全体のペースは握られる。4-4-2の布陣で、ずんずんと壁が押し出してくるようなエイバルに、ディフェンスラインが下がらざるを得ず、一方的に攻撃を浴びる時間帯もあった。

 そのたびに流れを変えたのが、久保だった。前半30分過ぎには、自陣右サイドからドリブルを始め、1人をスピードで外して駆け上がると、2人を引きつけたあと、ゴール正面を横切るパス。ボールを受けた選手はシュートに持ち込むことはできなかったが、味方はひと息つけた。

 そして40分過ぎ、やはり久保がボールを持って敵陣に突っ込む。一度倒された後、すぐに立ち上がって勝負を仕掛け、再び倒され、今度は完全なファウルだった。ドリブルのタッチ数が細かく、あえて相手に足を出させて、抜け出す。まるで、居合術のようなドリブルである。鞘に収めた刀を相手次第で抜き放ち、攻撃をいなし、二の太刀で斬り続けるのだ。

 このFKを蹴ったダニ・ロドリゲスのキックがゴールネットを揺らし、マジョルカが先制する。

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