国王杯決勝はバスクダービーに。「育て、鍛える」土壌が名選手を生む (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

 バスク全体に、サッカー選手を独自に育む「土壌」ができている。たとえばレアル・ソシエダは、少年時代、フランスで歯牙にもかけられなかったアントワーヌ・グリーズマン(現バルセロナ)を拾い、一流選手に叩き上げた。今シーズンは、ノルウェー代表マルティン・ウーデゴールが、その土壌に触発されたように輝きを放っている。

 バスク人のプレースタイルはスペインで最も激しく熱いが、フェアで卑怯なところがない。仲間のために、ひとりの男として戦えるか。かつては2部にいたエイバルは、「選手を男にする」と言われ、ユース年代のエリート選手がしばしば送り込まれた。有名だったのが、練習後に真冬でも全員が水風呂を浴び、筋肉の疲労を取る習慣。そこで共闘精神とすべてを出し尽くす戦いを学んだ。

「シャビ・アロンソがタックルを会得したのは、プレミアリーグではない。武者修行で送り込まれたエイバル時代だ」

 それが通説である。リーガ1部の常連になったエイバルのハード面は昔より改善されたが、気風は残る。言い訳をするような選手は、ピッチに立つことを許されない。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る