レアル、クラシコを制す。勝因はジダンの神がかった選手マネジメント (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 試合を決めたのは、ヴィニシウスだろう。ボールを持った時のテクニックは入団当初から評価されていたが、オフザボールの動きの質と決定力の低さで、一時は同じブラジル代表で年下のロドリゴ・ゴエスより序列が下がった。それがこの日は、老獪に裏を取り、決勝点をたたき出した。

「ヴィニシウスは今日のような重要な試合でゴールするのに値するプレーだった。とてもうれしく思っている」

 ジダンはそう言って、抜擢したヴィニシウスのプレーを称賛した。

 フランス人指揮官は策士ではない。しかし、選手マネジメントは神がかったものがあり、選手の成長を促し、勝利を呼び込む。アディショナルタイムに2点目を決めたマリアーノ・ディアスには、これまでほとんど出場機会を与えていなかったが、戦う準備ができたと判断したら起用し、結果を出させた――。その循環がジダンの求心力を自然と高めるのだ。

2-0で勝利したレアル・マドリードは、バルサと逆転で首位に立った。勝ち点差は1で、現時点ではそこまで順位に意味はない。それでも、クラシコの勝敗には順位を超えた重みがあるのも事実だ。



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