レアル、クラシコを制す。勝因はジダンの神がかった選手マネジメント (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 後半、レアル・マドリードは2トップがバルサのセンターバックに圧力をかけ、攻撃を分断。これで次第に流れを取り戻した。55分、イスコがエリア外から打った一撃はGKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンに防がれたが、反撃の狼煙になった。なかでもカルバハルが躍動し、イスコのヘディングシュートをお膳立てし、カリム・ベンゼマの絶好機も作り出した。白い波が押し寄せる迫力があった。

「マドリードのボールを奪い返す力は承知していて、それを上回れるはずだった。しかし、ボールを失うたびに自信をなくして......。試合ではよくあることだが、我々がナーバスになり、相手に勢いを与えてしまった。一番残念なのは、作り出した多くのチャンスを決めきれなかったことだ」

 セティエン監督はそう振り返った。勝利の算段はあっただろう。69分、守備で貢献していたビダルに代え、スピードのある新加入のFWマルティン・ブライスワイトを投入する。シティが後半、ラヒーム・スターリングを投入し、レアル・マドリードを奈落の底に突き落とした戦いを模したのか。

 交代直後、ブライスワイトは右サイドを鮮やかに抜け出し、決定機を得た。しかし、クルトワとの1対1を決められない。スターリングにはなれなかった。その1分後、ブライスワイトの守備の脆さが出る。ヴィニシウス・ジュニオールに完全に抜け出されてしまい、最後はシュートがピケに当たって、ニアに打ち込まれた。

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