19歳の怪物ハーランドが見せた底知れぬ才能。大型FWの概念を覆す (5ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO


 もちろん、個の力の差によって勝機を生み出すべく選んだミラーゲームは、守備面においてはある程度の効果を示した。しかし、故障明けのパフォーマンスが冴えないチアゴ・シウバをカバーするためにとった苦渋の選択は、攻撃の機能不全という形でそのツケを払わされ、本来最大の武器であるはずの攻撃サッカーを忘却させるかのような試合展開にしてしまった。

 とはいえ、敗戦後のトゥヘルが主張したように、アウェーゴールを奪っているPSGにはまだ十分に勝機が残されている。むしろ、第1戦で大勝したあとに不覚をとる悪癖からまだ脱出しきれていないPSGにとっては、背水の陣で臨む第2戦を戦うほうが、ベストではないにしてもベターだと思われる。

 いずれにしても、マルコ・ロイスとユリアン・ブラントという主力ふたりを故障で欠くドルトムントを、トゥヘル監督は必要以上に警戒してしまった。この犯した失策によって、PSGは再びCLの"トラウマ"が蘇ることになったかもしれない。

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