本田圭佑を迎えるボタフォゴの思惑。ブラジルでは熱狂と疑念が待つ (5ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳translation by Tonegawa Akiko

 今回の移籍は、ボタフォゴ、本田双方にとってウィンウィンの取引だった気がする。

 本田の年俸は高くない、サラリーベースは他のブラジル人選手と同じで、それ以外はゴールや勝利による出来高制だ。さらに本田は財政危機のチームに新たなスポンサーをもたらしてくれるかもしれないし、アジアでのマーケットも広がるだろう。もちろんサポーターも喜んでいる。ボタフォゴにとって得るものはあっても、失うものはない。

 一方、本田は東京オリンピックに向けてアピールもできるし、このビッグチームをサッカー人生の花道にすることもできる。サッカー大国ブラジルとのパイプは、彼が行なっているビジネスにも役立つことだろう。

 1980年代の終わり頃まで「お前は日本人のようにプレーする」というのはブラジルでは悪口のひとつだった。「サッカーを知らないヤツ」ということだ。しかし時は移り、多くの日本人が海外の重要なリーグでプレーするようになった。人々の考えは変わり、ついにカズ・ミウラから何十年かぶりで、日本人がブラジルのビッグクラブでプレーするようになる。

 あとは本田がどんなプレーをボタフォゴで見せてくれるか、だ。本田が失敗すれば、また日本人への門戸が閉ざされる可能性もある。今後の彼のプレーには、多くのものがかかっている。

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