イブラヒモビッチが初めて買った家は約5億円。サッカー選手の住宅事情 (3ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper
  • 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

「ああいう部屋に長く住むのはつらかった」と、ルーニーは後に語っている。彼が新しい家を見つけるのに手を貸してくれたのは、ひとりのチームメイトだけだった。

「ガリー・ネビルが、自分の持っている家のうちの1軒を買えと言ってきた」と、ルーニーは言う。「彼が家を何軒持っているのか知らない。自慢したかったのか、僕をからかおうとしていたのかもわからない。でも、『俺の家を買え』とずっと言っていた」

 リバプールで活躍したロビー・ファウラーも、不動産投資家さながらだった。ファウラー夫妻はリバプール周辺に、賃貸に出すための物件をたくさん所有していた。リバプールのファンはビートルズの『イエロー・サブマリン』のサビのメロディーにのせて、「We all live in a Robbie Fowler home.(僕らはみんなロビー・ファウラーの家に住んでいる)」と歌ったものだ。

 だが、住宅市場のことがまったくわからない選手たちも、もちろんたくさんいる。幸運なことに、最近ではそんな選手も事情通からアドバイスをもらっている。たいていは代理人や、大半のビッグクラブが雇うようになった「選手ケア担当スタッフ」などだ。

 多くの有名選手をクライアントに持つ著名な代理人のミノ・ライオラは、クライアントである若い選手が家の内見に行ったときの様子を面白そうにまねる。スマホのテレビ電話アプリで家の中を映しながら、「この家、どう思う?」とライオラに相談してくるのだという。住宅市場のことがわからない若い選手に条件のよくない物件を押しつけたがる悪徳業者もいるなかで、選手たちはそれなりに慎重になってきている。
(つづく)



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