今季CLはビッグクラブが盤石。
パリ、バルサ、ユーベが好調な要因は?

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倉敷 そのカバーニをベンチに追いやったイカルディは、存在感を増していますね。

中山 完全にフィットしましたね。カバーニが負傷離脱している間に結果を残して、今では完全にポジションを奪いました。トーマス・トゥヘル監督は、シーズンの前半戦はほぼ4-3-3のシステムで固定して戦って、その時は「アタッカーを4人並べると守備バランスが崩れる」と言っていたのですが、12月に入ってからは故障者が戻ったこともあって、主に4-4-2を使うようになっています。

 そうしたらトゥヘルは、カバーニをスタメンで使わない理由を聞かれた際、「我々にはエムバペ、イカルディ、カバーニという3人のワールドクラスのCFがいるので、誰かひとりがベンチに座るしかない」とコメントしました。つまり、両サイドハーフにネイマールとアンヘル・ディ・マリアを置いて、3人で2トップを競い合わせようとトゥヘルは考えていて、以前はサイドで使うことが多かったエムバペを、完全なCFとして使う腹づもりのようです。それによって、カバーニはイカルディの控えになってしまいました。

倉敷 カバーニは冬の移籍期間に、アトレティコに行くという噂がありますね。

中山 レオナルドSDが冬に放出することはないと明言しているので、おそらくカバーニは今季で終わる契約をまっとうしてから、夏にアトレティコに行くのではないでしょうか。それとCLを考えた場合、個人的にはカバーニは必ず必要な戦力になると思っています。

 カバーニとイカルディの違いは、攻撃から守備に切り替わる際にネイマールが空けてしまうスペースに戻って、守備の補完をできるかどうかだと見ています。CLで戦うような強豪相手の試合では、その役割は極めて重要なポイントになるはずです。たしかに最近はイカルディも守備をするようになってきましたが、大一番の試合でイカルディをスーパーサブとして使う方法も考えられます。

倉敷 今季のトゥヘルはラッキーだったのではないでしょうか。ネイマールもエムバペも今季は移籍騒動がありましたし、インテル(イタリア)から急きょ加入したイカルディもパリで結果を出すしかない状況に追い込まれていました。みんなどこか後ろめたい状況にあった。つまりトゥヘルにとっては自分の言うことをきかせやすい状況が生まれていたというわけです。超一流ゆえに扱いが難しい彼らを、自身が選んだチーム戦術に素直に従わせることができる有利な立場にあった。そうなると戦術家のトゥヘルは強い。

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