久保建英と対決へ。岡崎慎司、チームは最下位で1部残留へ正念場

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 ウエスカの不振の理由は、期待されたストライカーたちの低迷にあるだろう。

 バレンシア下部組織育ちの気鋭のスペイン人FWラファ・ミルは、長身を生かしたプレーで貢献している。チーム最多の3得点だ。だが、残留には十分な働きではない。バルサ育ちのサンドロ・ラミレスはうまさを見せているものの、わずか2得点。ポテンシャルは高いが、筋肉系のケガが多く、計算が立たない。ボルハ・ガルシアは攻撃のポジションはどこも担当でき、ユーティリティプレーヤーとして重用されるが、得点は1だ。

 その点ではエースFWを託された岡崎の責任も重い。14試合に出場しているが、わずか1得点。昨シーズンはチーム得点王で昇格の立役者になっただけに、期待を裏切っている状況だ。

 もっとも、岡崎には今季、不運がつきまとっている。

 開幕5試合後に左ハムストリングを痛め、4試合を欠場。どうにか戦列に戻って、グラナダ戦で勝ち点1につながるゴールを決めた次のアラベス戦だった。華麗に2得点を叩き込んだが(ひとつ目は直前にファウルがあったとして、ふたつ目は他の選手にオフサイドがあったとして)、どちらも取り消されたのだ。

 昨シーズンも、岡崎はいくつものゴールをVAR判定で取り消されている。その点、どうもツキがない。ストライカーはゴールを決めることで調子を上げるところがあるだけに、その勢いを削がれている印象だ。

◆岡崎慎司が明かす、VARで7点取り消しもなぜポジティブでいられたのか>>

 ひとつ言えるのは、ボールを供給できる技量を持った選手はいるということだ。直近のベティス戦でも、ハビエル・オンティベロスは左サイドから完璧なボールを、裏へ抜けた岡崎にアシスト。ニアサイドでの左足ボレーは相手GKの手に収まったが、決定機だった。ダビド・フェレイロ、セルヒオ・ゴメスも一級品のラストパスを送れる。

 岡崎はゴールゲッターとして非凡である。パスを呼び込み、ゴールに放り込む。その実力は、リーガの有力FWと比べてもそん色はない。

 新たに監督に就任することになったパチェタは昨シーズン、エルチェを率い、プレーオフを制して1部に導いている(しかし契約を更新せず、フリーだった)。

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