久保建英と対決へ。岡崎慎司、チームは最下位で1部残留へ正念場

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 1月20日、岡崎慎司を擁するウエスカは、久保建英が移籍したヘタフェの本拠地に乗り込む。

「日本人対決」

 日本での報道はそこに焦点が集まるはずだが、チームはそれどころではない。

 ウエスカは、(1月18日現在)20位と最下位。今シーズンは開幕以来18試合で、わずか1勝しかしていない。昨シーズン2部で優勝を飾って、歓喜の昇格を果たしたばかりだが、残留圏の17位バジャドリードとは勝ち点差6。これ以上離されると、「地獄」と形容される2部へ真っ逆さまだ。

 岡崎のウエスカは、「天国」と言われる1部に残れるのか?

今季はここまでまだ1得点にとどまっている岡崎慎司(ウエスカ)今季はここまでまだ1得点にとどまっている岡崎慎司(ウエスカ) ウエスカはヘタフェ戦を前に苦渋の決断をしている。1部昇格の殊勲者であるミチェル監督を更迭。開幕からわずか1勝で、最近5試合は1分け4敗、スペイン国王杯では3部に相当する2部Bのクラブに敗れ去った。更迭は自然の流れにも思えるが......。

「ミチェル・ウエスカを信じられる理由」

 これだけの不振にもかかわらず、スペイン大手スポーツ紙『アス』はミチェルが解任される直前まで擁護していた。

 事実、ミチェル・ウエスカは善戦していたのだ。

 4-4-2をベースにした戦いでは、攻守でしっかりとポジションをとって、お互いが補完し合って堅実に守り、ボールをしっかりつなぎ、サイドから攻撃を仕掛けた。左サイドからハビエル・オンティベロスが仕掛けるドリブルは、守備を崩す"ハンマー"だった。

 開幕から5試合は4分け1敗。勝ち星はなかったが、勝ち点を積み重ねていた。数字データでも、1対1の勝率、ドリブル成功率、クロス成功率などはいずれもトップ5に入るものだ。

 しかしながら、ことごとくゴールが決まらない。リーグ最少得点。その数字が残酷に現状を物語る。

 ミチェル監督が最後に指揮したベティス戦も、ボールポゼッション率はほぼ互角だった。ゴールチャンスも少なからず作ったが、一発で沈められた。その後は反撃に転じ、相手を数的不利にもしたものの、猛攻撃は実らず、逆にとどめを刺されることになった(ホームで0-2の敗戦)。

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