バルサ指揮官交代の非情と舞台裏。「新監督シャビ」はこうして消えた (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Agencia EFE/AFLO

 一方で、バルサの幹部はシャビに「ノー」を突き付けられ、監督選定を急いだ。バルベルデに見切りを付けたことが報道された段階で、後戻りはできなかった。フリーのポチェッティーノも有力と言われたが、彼は同じ街のライバル、エスパニョールの"アイコン"だっただけに軋轢を生む可能性があったし、大物だけに交渉も長引く。セティエンは必然的な選択だった。

 2022年6月末までの2年半契約で、セティエンはバルサ監督に就任した。

 円満にも見えるが、実はこの契約には政治的な色も見える。2020年7月からの就任なら、シャビは監督を引き受けたと言われる。それまで暫定的に、バルサBのガルシア・ピミエンタを監督に据える手もあったが、セティエンと2022年夏までの契約を締結。これは、シャビが現在の会長ジョゼップ・マリア・バルトメウとの関係が良好とは言えず、バルトメウ会長が「シャビ監督」を避けた"策略"とも言われる。

 巨大なクラブ、バルサは政治的駆け引きの中、その伝統を守れるのか。強いだけでは許されない。バルセロナの監督は骨が折れる仕事だ。

 セティエン・バルサの初陣は1月19日、本拠地カンプノウでのグラナダ戦になる。

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