南野拓実はチームに溶け込んでいる。クロップ監督と笑顔でハグ (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 リバプールが異次元の強さを誇っているのは、トッテナムのジョゼ・モウリーニョ監督が試合後に残したコメントからもうかがえる。56歳のポルトガル人指揮官は、次のように話した。

「リバプールはユルゲン・クロップ監督に約5年も指導を受けている。選手たちはフィジカル面でクロップの要求に完全にフィットしており、戦術面でも指揮官のやりたいサッカーができている。それは非常に重要なことだ。

 トッテナムは、彼らのようにはいかない。もし、我々が試合のラスト20分で見せたような猛攻をキックオフから仕掛けていれば、たちまち崩壊していただろう。トッテナムの選手たちは、そのようなプレー強度に慣れていないし、適応もできない」

 モウリーニョの言う「フィジカル」とは、プレー強度や体力、球際の強さなどを指しているのだろう。実際、リバプールは前線から圧力をかけていき、縦に速いサッカーでゴールを量産している。

 さらに、セカンドボールを徹底的に拾ってマイボールにし、2次攻撃につなげる。ボールポゼッションの技術も高く、スムーズなパス交換からネットを揺らすことも可能だ。こうしたプレーのベースになっているのは、相手に走り負けない体力で、攻守両面において隙のないチームに仕上がっている。

 それゆえ、南野のリーグ戦起用は、ゆっくりとタイミングを見ていくことになるだろう。チームの目標は、30年ぶりとなるリーグ優勝。しかも、無敗を継続している。

 クロップ監督が「タクミに対し、適応の時間を与えなかったらおかしい。まずはあれこれ詰め込むようなことはしない。できるだけ自然体でやってもらいたい」と語っているように、国内リーグ戦については、まず十分なリードを奪ってから試合終盤にデビューさせるシナリオが最も可能性が高そうだ。

 その南野は、試合を終えるとピッチに入っていき、そばにいたクロップ監督と抱き合って勝利を喜んだ。この時の様子について、ドイツ人指揮官は「私がタクミの名前を叫び、彼が振り向いた。お互いに笑顔を浮かべてハグをした。彼もこの勝利が特別であるのはわかっている。彼も、とても喜んでいた」と明かしている。

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