久保建英は大久保嘉人級の英雄となるか。
マジョルカが1部残留へ正念場

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by MB Media/AFLO

 しかしながら、チームとしての非力さは否めない。象徴的だったのが、年明け一発目のグラナダ戦だろう。

 ババ、ブディミルが出場停止だったことで、モレーノ監督は苦肉の策として3-4-2-1を選択した。中を分厚くし、敵地で勝ち点1を拾う戦い方だった。しかし攻撃の形を作れないどころか、ずるずるとラインを下げ、後ろに人が集まった5-4-1の状態に陥った。

 前半23分だった。プレスがかからず、ボールを持ち運ばれると、スライドが遅れる。脇にできたスペースを使われ、折り返しを叩き込まれた。

 先制された後、相手が下がったことでボールを持てる時間は増えたが、緩慢なパス回しで反撃に転じられない。後半途中に4-1-4-1に戻し、終盤は2トップに変更。すると孤立していた久保が息を吹き返し、ようやく形を作れるようになったが、スコアをひっくり返すことはできなかった。

 勝利を収めたグラナダは10位に浮上。彼らも昨シーズンまで2部だったことを考えれば、上々の2020年スタートだろう。"勝ち癖がついた"昇格組の勢いをここまで保っている。

 マジョルカはここまで善戦してきたが、リーグ戦直近の6試合は1分け5敗と完全に失速。序盤に昇格チームの勢いで挙げた勝ち星の貯金は、すでに使い果たした。ここからが正念場だ。

「我々はまだまだよくなる余地がある」

 モレーノ監督は強気に言うが、手札は限られている。ノッティンガム・フォレスト(イングランド2部)のスペイン人FWラファ・ミルに食指を動かしているというが、"強力な援軍"は期待できない。後半戦は消耗戦となり、地力の差が出るだろう。

 たとえば現在、最下位の20位に沈むエスパニョールは、ヨーロッパリーグで決勝ラウンドに進んでいるように、実力的には中位の戦力を有する。さらに、昨年12月に招聘されたアベラルド・フェルナンデス監督の就任で、浮上が見込まれる。年明け初戦のバルセロナ戦も引き分けているのだ。

 マジョルカが生き残る道はこれまでどおり、ホームで勝ち試合を増やすことか(ここまでホームは4勝2分け4敗、アウェーは0勝1分け8敗)。

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