欧州サッカーは格差がさらに拡大。
加速するビッグクラブの成長

  • photo by Getty Images

小澤 現行フォーマットで言うと、昨季から主要リーグは国内リーグ戦の4位のチームまでが本戦にストレートインするようになったので、その影響も大きいと思います。有力クラブがプレーオフで敗退するようなケースが減りましたし、主要リーグ勢は本戦のベスト16入りを果たす確率が確実に上がりました。

中山 そもそもこのフォーマット自体は、プラティニがFIFAゲート(汚職事件)で失脚し、会長不在の間にヨーロッパクラブ連盟が自分たちの意見をUEFAの新会長が決まる前に通してしまった。そのあとに会長になったチェフェリンは、それを受け入れるしかありませんでした。ある意味、大きなクラブにとっては思惑どおりの流れになっていますよね。

倉敷 現行フォーマットでやってもこの状態ならばスーパーリーグにする必要はないでしょう。もはやスーパーリーグの状態です。3大リーグに4席が確保されている現行フォーマットのままでいいのではないでしょうか。

中山 少し前に話題になったのが、新しいフォーマットでは週末にCLを開催する案が、UEFA内で議論されているというニュースでした。もちろん各リーグは反対していますが、現在の流れからすると、UEFAはスーパーリーグ構想に対抗するためにCLの週末開催に踏み切るのではないかと見ています。でも、国内リーグ戦の伝統が壊れてしまうのは、個人的には疑問に感じます。週末にリーグ戦を見に行く人々の生活習慣は、クラブの大小にかかわらず、深く根付いているものですから。

<ビッグクラブのサッカーが守備を強化し
カウンターも使えるようになっている>

小澤 最近のサッカーの中身で見ても、ヨーロッパ内での底上げが急速に広がってきていて、CL本戦に出場するクラブは自国リーグの上位チームなので、ほとんどのチームが「ポジショナルプレー」と言われるようなサッカーをしています。

 逆に、それらの各リーグの上位チームがCLを戦うときは、自分たちよりも明らかに格上の相手に対してジャイアントキリングを狙うようなサッカーができない。ガラタサライなどがいい例ですが、普段の国内リーグでは攻撃的に戦うチームが、急にCLで守備的に戦えないのだと思います。

 今季では、ザルツブルク(オーストリア)やスラヴィア・プラハ(チェコ)のサッカーは、それでも見ていて面白かった印象はありますが、それ以外のオリンピアコス(ギリシャ)、ベンフィカ(ポルトガル)といったチームは期待はずれのサッカーと結果でした。ヨーロッパ全体としてサッカーのレベルは上がっていると思いますけど、CLの舞台では格差が広がって見えてしまうのは、サッカーの質的均衡化にも原因があるのではないでしょうか。

3 / 7

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る