福田正博がリバプール入りの南野拓実の活躍に太鼓判を押す理由

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 リバプールのメンバーには、ラングニックの影響を受けている選手が多い。フィルミーノはホッフェンハイム時代に、CBのジョエル・マティプはシャルケ時代にラングニックの指導を受け、サディオ・マネとナビ・ケイタはライプツィヒに所属していた時にラングニックの下でプレーしている。そして、南野もチャンピオンズリーグでの活躍があったのはもちろんだが、ラングニックの流れを汲んでいて、順応に時間がかからないとリバプール側が予測しているからこその獲得のはずだ。

 とはいえ、南野がプレミアリーグで成功するには、オーストリア・リーグよりも数段上のクオリティーを持つ選手を相手にしながら、成長を続けていくことが必要になる。練習の段階から持ち味であるポジショニングの良さや、ゴール前での身のこなし、ボールを受けて前を向くスキルや技術力などを高めてほしい。

 南野が成長していくための追い風は、クロップ監督がリバプールとの契約を2024年まで延長したことだ。

 以前、香川がマンチェスター・ユナイテッドで苦戦した理由のひとつは、香川獲得を進めたアレックス・ファーガソン監督が1年後に退任したことがある。次の監督に就任したデイビット・モイーズ監督はフィジカル強度を求めるスタイルで、そこに特長を持たない香川にとってはツキがなかったとも言える。

 一方、南野は獲得を進めた監督のもとで長期的に成長を続けることができる。もちろん、クロップ監督が契約途中でほかのビッグクラブに引き抜かれる可能性はあるものの、クロップ監督のこれまでのキャリアから考えると、単にビッグクラブからのオファーというだけでは現職を投げ捨てたりはしないだろう。

 さらにクロップ監督がドルトムント時代に香川を指導した経験があることも、南野にとってはポジティブな要素だ。日本人選手ならではの価値観やメンタリティーを、指導者が理解しているか否かの違いは大きい。

 リーグ戦とFAカップ、チャンピオンズリーグと試合数の多いリバプールにあっては、選手の疲労度との兼ね合いで南野が先発起用されることもあるだろう。そのときに、ボールを受けたら素早く前を向いて仕掛けていける南野の特長を発揮できれば、レギュラーも見えてくるはずだ。

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