酒井宏樹は「明」。昌子源は「暗」。対照的だったフランスリーグ前半戦 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images



 事の発端は、開幕直前に行なわれたプレシーズンマッチだった。

 CBの相棒クリストファー・ジュリアンがセルティックに移籍したこともあり、今季の昌子は守備の要として期待された。だが、その試合で左足を負傷。以降はリハビリに専念し、第7節のアンジェ戦でようやくピッチに復帰した。

 ところが、上々のパフォーマンスを見せていたその試合の前半終了間際、今度は足首を負傷して45分間のプレーのみで途中交代。さらに、復帰間近と伝えられていた11月上旬、練習中に痛みが再発し、結局復帰できないまま不本意な前半戦を過ごすこととなった。

 昌子不在のなか、チーム状況も悪化の一途を辿った。

 それほどいいパフォーマンスとは言えないなかでも、マルセイユは結果を出すことでチームに好循環が生まれた。それとは対照的に、トゥールーズの場合はそれほど悪くない内容を見せながらも、結果を出せないことで悪循環に陥ってしまった印象だ。

 とりわけアラン・カサノバ監督の誤算となったのは、昌子が負傷したことでCBを固定できなかったことだった。ケルビン・アミアン、バフォデ・ディアキテ、マテュー・ゴンサルヴェスといった既存の戦力に、新戦力のアグスティン・ロヘルやニコラ・イシマ=ミランといった駒をパズルのように組み合わせるも、ディフェンスリーダーになり得る存在は見当たらず、最適解を見つけられない状況が続いた。

 そんななか、10月10日にはサポーターからの脅迫メールによって指揮官が辞任。フロントはアントワーヌ・コンブアレを新監督に招聘して巻き返しを図り、就任直後のリール戦には勝利するも、それ以降は泥沼の9連敗。不振に拍車がかかり、まさかの最下位で後半戦を迎えることとなってしまった。

 このままの状態が続けば、トゥールーズの降格は必至。早くもコンブアレ新監督の進退問題が話題の中心となるなか、果たして後半戦で巻き返すことができるのか。

 逆に考えれば、年明けからの復帰が期待できそうな昌子にとっては、チームの救世主となるチャンスと言える。

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