酒井宏樹は「明」。昌子源は「暗」。対照的だったフランスリーグ前半戦 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images



 上位争いのライバルを相手にホームで2連勝したことで、完全に潮目は変わった。

 以降、マルセイユは怒涛の快進撃。6連勝を含む8戦無敗という好成績を残して順位を急浮上させ、チャンピオンズリーグ出場圏内でクリスマス休暇を迎えることとなった。

 好成績の要因として、パイェが完全復活したこと、さらにはスタメンがほぼ固定されたことなどが挙げられるが、加入4年目の酒井もチームの快進撃にしっかりコミットしている。

 チームが不安定だったシーズン序盤は、昨季同様に左サイドバックでプレーすることも多々あった酒井だったが、リール戦以降は本職の右サイドバックでプレー。ここまではアシストや得点を記録していないが、第16節のアンジェ戦ではPKを獲得して先制ゴールを生むなど、数字以上に貢献度は高い。

 その安定したプレーぶりは、現地メディアでも高く評価されている。たとえば『レキップ』紙は、直近の第19節ニーム戦における酒井の採点を「6」としたうえで、次のように評価した。

「いつものように守備面で規律があり、熱いボールを供給して前線中央とのつなぎ役となった。攻撃参加は少なかったが、先制ゴールの起点となったように、よい仕事をした」

 前半戦の国内リーグ19試合のうち16試合に先発し、フィールドプレーヤーでは4番目となる1382分のプレー時間を記録している酒井に、今のところ死角は見当たらない。それだけに、長期離脱中のフロリアン・トヴァンが右ウイングに復帰しそうなシーズン後半戦は、酒井のさらなる活躍が期待できそうだ。

 一方、トゥールーズの昌子源は、酒井とは対照的に何も残せないままシーズンを折り返すこととなってしまった。

 プレー時間はわずか45分。今年の冬に加入して即レギュラーを獲得し、18試合で先発フル出場を果たした昨季の後半戦は1620分のプレー時間を誇っただけに、昌子にとってもチームにとっても大誤算の前半戦だった。

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