堂安律、2020年への決意。「すべてをかけてオリンピックで優勝したい」 (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO



「オランダに来た時は、やっぱりしんどかったです。今は光が見えて、がんばってそっちに向かっていますが、来た当初は何も見えなかった。フローニンゲンが僕を買わなければ、俺は日本に帰る。相当、つらかったですよ。その気持ち、わかんないでしょう?」

 オランダに来てから1年半後、堂安は日本代表の主力のひとりとしてアジアカップに挑んだ。ただ、そこでの挫折は課題がハッキリしていたので、「暗闇」とは違った。

「『暗闇』というのは、何も見えない状態を言うのでね。大事なことは努力を続けること。腹をくくってやるしかない。こっちに来てしまったんだから、日本のことを考えている時間もなかったし、遊びたいとか考える時間もない。覚悟を決めてやるしかない。結局、メンタル的なことが大きいですよ。技術だけじゃないと思います」

 堂安がズヴォレ戦後に「ぶらさずに1年やってきた」と語った言葉の奥には、「努力」と「覚悟」という意味が混じっていたのではないだろうか。

「この1年間は間違いなく、来年につながると思います。なんでも物語は最後によくいくと思うので、オリンピックで優勝したいと思います」(ズヴォレ戦後の堂安)

 11月にU−22コロンビア戦と対戦したU−22日本代表の試合内容は、オリンピックに向けて不安の残るものだった。「記者やサポーターの方がそう感じたのなら、それは真摯に受け止めないといけない」と堂安と言う。

「その一方で(現在の悪い状況を)変えられるのは選手だけ。その選手たちが目標にぶれて、『あれ、俺たち大丈夫かな?』と思うようでは、絶対に目標に届かない。だから、洗脳するかのように自分たちに言い聞かせないといけない」

 その目標とは、金メダル----。堂安はそう公言する。しかし、それを胸に秘めたままにする選手もいる。

「だけど、目標はひとつでないと。同じゴールの絵を共有しないといけません」

 暗闇を抜けたと思ったら、壁が立ちはだかった2019年。シーズン後半戦、堂安は覚悟と努力で現状を打破し、東京オリンピックにつなげていくのだろう。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る