堂安律、2020年への決意。「すべてをかけてオリンピックで優勝したい」 (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO



「自分のなかで、ひとつの壁もあったと思う。ただ、それなりに考えてやってきているつもり。この1年を無駄にしないようにして、自分自身でも来年バケてほしいです」

 フローニンゲン時代、調子を落とした時も、いくら長くゴールから見放された時も、堂安は「壁」という言葉を使うことを拒んできた。「将来どんな大きな壁が待ち受けているかわからないから、今の状況を壁なんて言っていられない」と。

 そんな男が、ズヴォレ戦後にその言葉を口にした。それだけ、ビッグクラブで期待に応えることの重圧は大きいのだろう。

「今、振り返るとね、(今年1月から5月のフローニンゲンでの)半年間で1点しか獲れなかったなんて、僕としてはありえない結果。厳しい目で見ると、少し残念な結果だった。これから先、半年で1点しか獲れないなんてないようにしたい。

 そう考えるとやっぱり、あの時は壁だったなって思えるかもしれない。あと、アジアカップで自分のプレーができなかった。来年はぜひ、期待してほしい。2020年にはオリンピックがある。オリンピックにすべてをかけるつもりで、人生を変えるつもりでやりたいなと思います」

 堂安の口からは反省ばかりがついて出てきたが、「(目標を)ぶらさずに1年間やってきたことは自信になってきている」とも言う。それを聞いて思い出したのは、2月に堂安から聞いた話だった。

「『うまくいかなくても挫けずにやろう』という意識は、プロ選手として当然のこと。止まったら終わりなんでね。失敗しても続ければ、何か見えてくると思ってやっています。暗闇のなかにいても、光を探し続ける。大事なことですよ」(フローニンゲン時代、アジア大会後の堂安)

 人前ではポジティブに明るく振る舞っていた堂安も、フローニンゲンに来てしばらくは暗闇のなかをさまよっていた。堂安はガンバ大阪から期限付き移籍でオランダに来ていたので、1年目で活躍できなければフローニンゲンに買い取られず、日本に帰されてしまうこともあり得た。

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