最強フラメンゴも完敗。南米の
クラブが欧州に勝てない理由は明白だ

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • photo by AFP/AFLO

 大会のレギュレーションも、南米代表に有利にできている。主催者であるFIFAは欧州王者が圧倒的に強いことを想定し、準決勝から決勝までの試合間隔は、南米王者(もしくは南米王者を倒したチーム)が3日なのに対し、欧州王者は2日と、1日少なくなっている。欧州王者にハンディを課しているようなものだ。

 さらに今回、フラメンゴファンが約1万5000人も応援に駆けつけたのに対し、イングランドからやってきたリバプールファンはその約10分の1。ファンの応援ではフラメンゴの圧勝だった。

 こういった要素を考え合わせると、今回、フラメンゴがリバプールを倒す可能性はかなりあると踏んでいたのだ。

 ところが、試合序盤、リバプールが立て続けに3度の決定機を作る。その後、フラメンゴが守備を立て直したが、前半の両チームの決定機の数はリバプールが5に対してフラメンゴはゼロ。後半は、リバプールが5に対してフラメンゴは1。延長では、リバプールが3でフラメンゴは1といったところだろう。フラメンゴは、GKジエゴ・アウベスの再三のスーパーセーブがなければ、大敗していておかしくなかった。

 その試合内容はフラメンゴにとっては衝撃的だった。ブラジル、南米で猛威を振るった強力攻撃陣が120分間でわずか2度の決定機しか作れず、一度もゴールを割れなかったのだ。

 選手の中でリバプールを苦しめたのは、今季の国内リーグMVPのブルーノ・エンリケくらい。今季のコパ・リベルタドーレス得点王で、南米最強ストライカーのガビゴールは厳しいマークを受けて不発だったし、守備の柱ロドリゴ・カイオも強力3トップの対応に苦労した。

 フラメンゴは両サイドの守備とFWのプレスの強度に弱点があり、無失点に抑えるのは土台無理だった。勝つためには撃ち合いに持ち込むしかなかったが、完封された。こんなフラメンゴの姿は、今年、南米では一度も見なかった。決して最高の出来ではなかったリバプールとの地力の差は明らかで、欧州のいくつかのビッグクラブにも勝つのは難しいだろう。

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